【印刷してみた】Hahnemuhle Torchonの魅力
芸術大国ドイツ。
400年以上の歴史をもつHahnemuhle Fine Art社(ハーネミューレファインアート社)をなくして欧州の芸術は語れません。
ルネッサンスの絵画やシェイクスピアの作品、グーデンブルグの聖書など、長い年月が経過してもいまだに現存している芸術品は「コットン」をベースにした用紙が使われています。
また時代の変化に伴い、今ではコットンだけでなく「αセルロース」という素材でも用紙が作られ、多くのアーティストを支えています。
コットンやαセルロースで作られた歴史のある用紙を写真・イラストの分野で扱えるのは時代の進化があってこそ。
"PHOTOPRI"オススメの用紙の中でも上位に君臨する、人気のあるハーネミューレシリーズ。
ハーネミューレシリーズはたくさんの用紙種類がありますが"PHOTOPRI"では6種類に厳選しています。
今回の記事では、Torchonを取り上げます。
「マット紙の印刷をしたことがない。」
「Torchonの特徴は?」
「どんな写真やイラストに適しているの?」
などのお悩みやご不安を持った方に向けてのご紹介です。
〈取扱用紙〉
- 【Hahnemuhle】Photo Rag <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】German Etching <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Torchon <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】FineArt Pearl <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Photo Rag Baryta <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Photo Rag Metallic <商品ページへ>
【Hahnemuhle】Torchonという選択
Torchon(以下、トーション)は、ハーネミューレの用紙の中で「マットファインアート」というシリーズに分類される用紙です。
PHOTOPRIでは、2022年からの採用となりますが、お客様からよくお問い合わせいただくことの多い用紙です。
過去のデジタルカメラグランプリ(風合い紙部門)でも金賞を獲得した実力派です。(これめちゃくちゃすごい)
用紙の質感や発色の良さ、取り回しのしやすさなど、その魅力を以下にまとめます。
驚きの発色
まずトーションを語る上で「発色の良さ」は避けては通れません。
厳密に言えば「発色が良い」というよりも「色が落ちにくい」といったほうが良いかもしれません。
マット紙に出力すると、基本的に画像データよりも数段色味が落ちたり、色自体が変化してしまいます。(鮮やかな赤色は、えんじ色に変化するイメージでしょうか)
特に青色が変わりやすく、紺色、紫色の表現となると画像データと結構変わってるっていうことがあるんですよね。
マット紙に限ったことではありませんが、色味が落ちる・変わるということはプリントする以上、仕方のないことでもあります。
用紙によって色味が変わるという点においては「それもプリントの楽しみ方だ」と、まだ理解できますが、色が落ちるということはなるべく避けたいですよね。
トーションはマット系用紙に分類されながら、色味の変化が大きく異なることはなく、色味も落ちにくいです。
パステルカラーなどの淡い雰囲気の作品でも、弱い色表現にはならず、しっかりと画像データに近い色味を出してくれます。
発色の良さを感じるのは用紙そのものの色も大きく影響していると感じます。
トーションは、ブライトホワイトと呼ばれる白地で、明るい印象を与えてくれます。
フチありで出力した作品の場合は、色の明るさをさらに感じることができると思います。
フチが付いていることによって画像との境が出来ますので、作品としての締まりも良く、パッと明るい印象となります。
フチなしでの出力ももちろんおすすめできますが、個人的にはフチありにしたほうが良いなと思う用紙ですね。
水彩画紙のような風合いで鮮鋭度が高い
おそらくですが、イラストをよく描いている方や美大生の方はトーションを見たときに同じ感想を持つのではないでしょうか。
「水彩画紙みたい」
トーションはその風合いが水彩画紙のようで、用紙の厚みや面質はパステルペーパーによく似ています。
イラストの印刷をすると色の鮮やかさや諧調表現に驚かれると思います。
水彩画やパステル画の再現をする上で、特に鮮鋭度が高いという点は、イラストレーターにとっては魅力的かと思います。
デジタルで試行錯誤した色をイメージ通りに印刷することができ、かつ繊細で、かといって脆弱さは感じない。
この用紙を使うと、鮮やかな表現ができるマット紙の有り難みをつい感じてしまいますね。
どのような写真・イラストに適しているのか
イラストならなんでも!
トーションはイラストの印刷であれば、テイストに左右されない汎用性の高い用紙です。
用紙自体が水彩画紙のようだ、と紹介しましたが、だからといって水彩画風の作品にしか合わないのか、というとそんなことはありません。
用紙の大きな特徴でもある表面の凹凸があることで、奥行きを感じられますし、動きのある作品にも感じられます。
また、発色が良いという点は大人気であるフォトラグと比べても、遜色がなく頼もしいです。
キャラクター・アニメ調の作品でも、コントラストを高く色もはっきりと出るため躍動感のある作品にすることができます。
マット系用紙での印刷をしたことのない方やアート紙での印刷を迷われている方はぜひ一度、お試しください!
写真×トーション=?
イラストの印刷では大活躍のトーションですが、写真の印刷についての向き不向きは、まだ充分な知見がありません。
普段、お客様からいただくご注文も「トーションといえばイラスト」という認識になるくらいイラスト印刷の代表となっています。
発色や色表現のレベルが高いので、被写体を絞れば、写真の印刷に使えないこともないと思われますが、社内で検証も進められておらず、、、
(個人的には比較的、どのような写真でも編集の仕方によってはばっちり噛み合うのでは?と思っているのですが...)
きちんとご紹介できるような準備が整った段階で、改めて加筆いたします。
おまけ
・トーションは「コットン」ではなく「αセルロース100%」の用紙になります。
・トーションはハーネミューレの用紙シリーズの中の「マットファインアート」の一角です。
・トーションについては上述した通りですが「そもそもファインアート紙って何?」という方もいらっしゃると思いますので「ファインアート紙」についてのご説明も加えておきます。少し固い表現もあるかもしれませんがご容赦ください。笑
ファインアート紙とは
ファインアート紙はインクジェットプリント技術の向上により「紙としてのクオリティ」が飛躍した用紙のひとつです。
従来の銀塩写真と同等の高精細、高品質のデジタルイメージの再現が可能になったことで、一気に写真・アート業界でその可能性が検討されたのです。
ファインアート紙の大きな特徴は「保存性」と「風合い」を両立している点です。
原料となるのは「コットン」や「木材」、「竹」などがありますが"PHOTOPRI"で採用しているのはコットンベースのファインアート紙になります。
コットンベースのファインアート紙は、リグニン(木材の20〜30%を占めている成分。木材由来の紙は当然リグニンを含んでいるため、時間が経つと劣化します。ちなみに本が変色するのは紫外線とリグニンの科学反応によるものです)を含んでいないため、長期間の保存が可能になりました。
Hahnemuhle(ハーネミューレ・ドイツ)やPICTORICO(ピクトリコ・日本)、Canson(キャンソン・フランス)など、ファインアート紙のサプライヤーは数多く、それだけに用紙の種類も多岐に渡ります。
今後の可能性としては、ヨーロッパ圏で進化を遂げてきたファインアート紙がさらなる進化を期待されるのと同時に、これからはアジア圏からも新たなファインアート紙が誕生するかもしれません。
ファインアート紙はアート業界の方だけに留まらず、個人のクリエイターの層まで浸透していくと考えられています。それに伴って、用紙自体もさらに種類が増え、細分化していくものになっていく可能性は高いと言えるでしょう。
〈取扱用紙〉
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- 【Hahnemuhle】FineArt Pearl <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Photo Rag Baryta <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Photo Rag Metallic <商品ページへ>
【Hahnemuhle】Torchonをお試し印刷してみませんか?
車を買う時は一度試乗をするように、プリントをする前に、まずはお試し印刷をご利用いただき、ご自身の目で用紙を体験してほしいと思っています。
光沢紙、マット紙、ファインアート紙、和紙など多岐に渡る用紙それぞれがもつ風合いや手触り、色写りなど、実際に印刷物を手にしてみないと分かりませんよね。
たくさんの用紙の中からベストなものを選択しようとしても、いきなりは難しいと思います。どれを選んだら良いのか分からないという方は本当に多いのです。
お試し印刷は、ご自身の写真データを使って出力することができます。
お好みに応じたお試しセットをご用意しておりますので、是非一度ご活用ください!