【印刷してみた】阿波和紙 楮 生成の魅力

私たちPHOTOPRIは「作品をカタチにする」お手伝いをする、プロフェッショナル向けの印刷サービスです。
日々、多くのアーティスト、写真家、イラストレーターの皆様の作品制作をサポートしています。
今回は、数ある用紙の中でも趣の深い【阿波和紙】楮 厚口 生成(きなり)の印刷事例を紹介しながら、特徴をご紹介します。
和紙に印刷ってできるの?普通の写真用紙との違いは?
和紙に印刷ができることを知らなかった方も多いのではないでしょうか?
作品制作の現場では、好んで使う方も少なくなく、特にデジタルでの表現が溢れる現代だからこそ、物理的な「モノ」としての作品が持つ質感、温もり、そして唯一無二の存在感から、和紙を選ぶ作家様が増えていると感じます。
写真を"あえて印刷する"ということ。
それはカタチに残ると言うこと。
PHOTOPRIが掲げる理念にピッタリと当てはまるのが日本の伝統素材「和紙」だと考えています。
中でもアワガミファクトリーさんの「楮 厚口」シリーズは、単なる印刷用紙という側面だけでなく1300年以上の和紙の歴史を感じさせてくれて、職人様の手仕事の痕跡と天然素材ならではの温かみを持つ特別な用紙だと感じています。
実際に印刷をしてみると、写真用紙と比較してシャープではない分、独特な空気感の表現を得意とした用紙だと感じます。
阿波和紙の歴史
阿波和紙の歴史は、約1300年前の奈良時代にまで遡ります。
朝廷に仕えていた阿波忌部氏(あわいんべし)が、現在の徳島県吉野川市周辺で麻や楮を栽培し、紙や布を生産し始めたのが起源とされています。

阿波和紙の品質は、今も昔も吉野川の清らかな水に支えられています。
阿波和紙メーカーの一つ、アワガミファクトリー
この長大な歴史を現代に繋ぐのが、製造元であるアワガミファクトリーです。300年以上にわたり製紙業を営んできた藤森家によって運営されており、伝統技術の継承と、現代のインクジェット技術に対応する革新を両立させています。
その功績は国内外で高く評価され、まさに阿波和紙の伝統そのものを体現する存在と言えます。
【阿波和紙】楮 厚口 生成のスペック
用紙の仕様
属性 | 仕様 |
---|---|
製造元 | 阿波和紙 (アワガミファクトリー) |
原料 | 楮、木材パルプ |
坪量(米坪) | 110 g/m² |
紙厚 | 0.23 mm |
色 | 生成 (きなり) - 暖色系のオフホワイト |
「荒々しさと美しさ」が共存するテクスチャ
この用紙の最大の特徴は、その表面のテクスチャにあります。
光にかざすと、長く絡み合った楮の繊維が不規則なパターンを描き出しており、この「荒々しさ」は自然素材から人の手を通して作られた証でもあります。
一般的な写真用紙が作品を真っ直ぐに表現するのに対し、この和紙は作品を優しく「包み込む」ような温かさを持っています。
「生成(きなり)」の意味
用紙自体の色は純白ではなく、漂白せずに原料本来の色を活かした「生成」。
この暖かみのあるベース色が、さまざまな作品の色彩と混ざり合い作品全体を調和のとれたトーンにまとめ上げます。
特に、モノクロのポートレートや風景写真など温かみを表現したい作品とは抜群の相性を発揮します。
💫用紙とデータの相性についてワンポイント
「生成」のベース色は、良くも悪くも作品の色に影響を与えてしまいます。
特に紫は深みを増して落ち着いた色合いに、青は少し緑がかったニュアンスになります。
逆にクリーム色などの暖色は色の濃度が増して、より印象的に仕上がります。
長期保存へのこだわり:アーカイブ品質という価値
楮の長く強靭な繊維は、紙自体の優れた耐久性と長期にわたる保存性を実現します。
PHOTOPRIが使用する長期間の耐光性を持つEPSON純正インクと組み合わせることで、作品が美術館収蔵品レベルの長期保存性をもつアーカイブ品質となります。
【阿波和紙 楮 生成】印刷のポイント
和紙だからこそ生まれる、特別なジークレー印刷
アワガミファクトリーのインクジェット用和紙は、表面に特殊なインク受容層が施されており、これによりインクの滲みがコントロールされています。
PHOTOPRIをはじめとする、作品印刷サービスでは精細な印刷が得意なプリンターを使用して印刷を行なっているため、インクは紙の表面に乗り、繊維の凹凸と一体化し、まるで元から染っていたかのような自然な質感を生み出します。
これはデジタルデータに温かな質感を通わせる、ジークレー印刷×和紙ならではの表現です。
色の不安を解消する、PHOTOPRIのRGB印刷
阿波和紙 楮 生成のベース色は、作品の色に影響を与えます。
「せっかくこだわった色が、沈んでしまうのではないか…」と思われる方も多いのではないでしょうか?
その不安を、PHOTOPRIが解決します。
多くの印刷サービスがCMYKカラーモードを基本とするのに対し、PHOTOPRIはデジタルカメラの標準であるAdobe RGBやsRGBでのダイレクト印刷に対応しています。
一般的なCMYK変換では、特に鮮やかな青や緑、紫といった色域が失われがちです。
ただでさえベース色が特殊な和紙にCMYK印刷をすると仕上がりは、色が転びくすんだ仕上がりになりかねません。
PHOTOPRIのRGBダイレクト印刷は、CMYK変換をせずに元データが持つ色彩情報を和紙が表現できる最大限に引き出します。
つまり、「和紙のプリントの色の沈み」を極力抑え、PHOTOPRIでの印刷なら、「和紙のポテンシャルを最大限に活かしたプリント」が得られます。
おすすめの作風ジャンル
- 写真: 温かみのあるポートレート、霧や夕暮れなど情緒的な風景、豊かな階調が求められるモノクロ作品。
- イラスト: 水墨画や日本画風のデジタル作品、ボタニカルアート、絵本。
- 複製画: 水彩画や素描など、紙を支持体とするオリジナル作品の複製。
比較の視点 - あなたの作品に最適な一枚を見つけるために
この和紙のユニークな価値をより深く理解するために、他の代表的な用紙と比べてみましょう。
特徴 | 【阿波和紙】楮 厚口 生成 | グロッシーフォト | ファインアートラフ |
---|---|---|---|
テクスチャ | ざらざらとした繊維質 | なめらか | ベルベット調 |
表面仕上げ | マット、無反射 | 高光沢、反射性 | マット、無反射 |
シャープネス | 柔らかく、優しい描写 | 高いシャープさ | 高いシャープさ |
色の鮮やかさ | 落ち着いた、温かみのある発色 |
彩度とコントラストが高い |
豊かでリッチ、広い色域 |
最適な用途 | 情緒的な表現 | インパクトの強い商業写真 | 美術館品質のファインアート |
どの用紙が優れているかではなく、どの用紙があなたの作品のを最もよく表現してくれるか。その視点で選ぶことが重要です。
和紙はシャープネスや彩度を引き換えに、質感と温もりを表現してくれます。
例えば最新のデジタルカメラを使用せずにフィルムカメラを使用するようなイメージに近いですね。
実際に注文する前のおすすめガイド
失敗しないために事前に用紙を確認してみるのがおすすめ。
個性的な用紙が多いアート紙を使用して作品を印刷する際の秘訣は、実際の用紙に触れて、可能であれば本番前にお試し印刷を確認することです。
これはリスク回避でもありますが、新たな表現や意外な発見があるかもしれないためおすすめしています。
ここからはPHOTOPRIのアート紙を事前に確認する2つの方法をご紹介します。
1. 「全用紙サンプル」でまずは実物を触ってみる
PHOTOPRIでは全用紙のスウォッチサンプルを550円で提供しています。
モニターでは伝わらない厚み、手触り、繊細な色合いをご自身の目と指で感じてみてください。

2. 「お試しプリント」で、実際に作品を印刷する
そして最もおすすめなのが「お試しプリント」です。
ご自身の作品データをA5サイズで実際にプリントすることで、色の再現性やテクスチャとの相性、印刷された際の作品全体の雰囲気をご自身の目で確かめられます。
初回の割引もあるため、PHOTOPRIをご利用の9割の方がこちらを利用して用紙を選ばれています。

和紙を活かす仕上げ
プリントされた作品は、その見せ方で価値が大きく変わります。和紙の持つ雰囲気を活かすための、具体的な仕上げ方法をご紹介します。


木製パネル加工は、フレームなしのミニマルな展示で、和紙の素材感をより一層際立たせます。


作品の雰囲気に合わせて選べる額装。
特にマット加工付きの額装は、作品に格調高い雰囲気を与え、鑑賞者の視線を自然と作品に集中させることができます。
阿波和紙 楮 生成を印刷してみませんか?
阿波和紙 楮 厚口 生成は、単なる印刷用紙ではありません。
日本の伝統と職人の手仕事が息づく用紙であり、作品の表現幅を広げる特徴的な1枚です。
私たちPHOTOPRIは技術、専門知識、そして何よりもアーティストに寄り添うサポート体制を組み合わせることで、初めて作品としての和紙の真価が発揮されると考えています。
お手元の作品データで、阿波和紙 楮 生成を印刷してみませんか?
まずは全用紙サンプルやお試し印刷からでも、和紙への印刷を体験していただけますと幸いです。