記事: 【写真用紙の選び方】作品の魅力をさらに引き出す用紙選び
【写真用紙の選び方】作品の魅力をさらに引き出す用紙選び
スマートフォンのカメラの急速な進化により、誰もが手軽に写真撮影を楽しむことができる時代。
「撮った写真を用紙に印刷するーーー」
写真の良さが、時代にまた飲み込まれそうになっている。
普段はディスプレイで見ていても、用紙に印刷することでさらに”一枚”の魅力に引き込まれる。
お気に入りの写真を印刷し、手に取り、じっくりと見る。
レンズに写した目の前の驚きがーーー
被写体が放つ艶やかな瞬間がーーー
何気ない日常の一枚がーーー
SNS時代にあえて“印刷”をすることで、
より有意義な時間を生み出してくれるのではないでしょうか。
ただ、いざ用紙を選ぶとなるとあまりの種類の多さに迷う人も多く…
- 種類が多すぎて分からない。
- 結局どれを選べばいい?
- 用紙の違いは何なの?
- 目的にあった最適な用紙ってあるの?
といった声を多く聞きます。
そこで、数ある写真用紙のそれぞれの大まかな特徴をはじめに解説します。
一緒に”PHOTOPRI”から注文できる各用紙も記載しますので参考にしてください。
(解説しているものの中で一部、取り扱いのない用紙もございます。ご了承ください。)
目次
Q.印画紙とは?
A.印画紙は、主に銀塩プリント用の用紙のことを指しています。
フィルムカメラで撮影されたフィルム画像を現像するための感光材料が塗布されています。
しかし近年は、デジタル画像を高画質に出力することができるインクジェットプリンター用写真用紙のことも「印画紙」と呼ばれ、バライタベースとRC(Rasin Coating:レジンコート)ベースの2種類があります。
バライタとは支持体の紙の上に、紙をより白く見せるための下塗り層(バライタ層)を塗り、その上に感光材料を塗った層があるものを指します。
独特のキメの細かいテクスチャによる描写の美しさが長所として挙げられます。
RCは、バライタ紙の両面に樹脂層をつくり、不必要に薬品を吸収するバライタ紙の欠点を解消したものを指します。
表面樹脂層のテクスチャを変えることで強い光沢を出したり、光沢を抑えたりすることができます。
※バライタベースの用紙は現在どれを取り扱うか検討中のため、リクエストも受け付けております。→リクエストを送る
Q.マット紙とは?
A.マット紙はつや消しのコーティングが施され、撮影時の光の入り込みを抑えてくれる写真用紙です。
表面の光沢がなく、落ち着いた仕上がりになります。
クラシカルな写真や、柔らかい印象の雰囲気の写真をプリントするときに適しています。
Q.光沢紙とは?
A.一般的に写真用紙と知られているのが光沢紙です。
つるつるとした肌触りで、表面に光沢があるため、つやがあります。
カラーの発色がよく、特に黒色をはっきり映し出すのでコントラストを出したい場合は最適です。
光沢紙は表面がコーティングされているため、高級感のある仕上がりになります。
Q.絹目調とは?
A.絹目調はキメの細かい微粒面を持っている半光沢紙です。
さらさらとした肌触りが特徴で表面の光沢感は控えめ、作品をしっとりと上品に仕上げてくれます。
落ち着いた雰囲気を出すので、写真集などにも使われています。
また、耐水性や耐光性も高いので、色褪せにくいという特徴もあります。
比較的長く良い状態を保つことができる写真用紙と言えます。
Q.和紙とは?
A.和紙は「日本紙」とも呼ばれ、日本古来の製法で作られた用紙です。
その特徴は薄くて丈夫。
日本の誇る伝統工芸のひとつとして海外からの注目も集めています。
和紙には原料となる種類が、麻、穀、雁皮(がんぴ)、楮(こうぞ)、檀(だん)、三椏(みつまた)と多数あります。
全国に和紙の産地は数多くあるため、ここではPHOTOPRIで取扱のある阿波和紙(あわわし)について紹介します。
阿波和紙(阿波紙とも呼ばれています)は、徳島県吉野川市、三好市池田町、那賀郡那賀町で生産されている和紙で、国の伝統工芸品に定められています。
楮、三椏などが原料となり、特徴はやさしい色合いで耐水性にも優れているということです。
和紙によって表情が異なるのもおもしろさのひとつです。
阿波和紙はインクジェットプリンタ対応の和紙です。
高画質で豊かな再現性を実現できるため、プロ作品の制作用で使われることが多いです。
Q.ファインアート紙とは?
A.ファインアート紙は、インクジェットプリント技術の向上により「紙としてのクオリティ」が飛躍した用紙のひとつです。
従来の銀塩写真と同等の高精細、高品質のデジタルイメージの再現が可能になったことで、一気に写真・アート業界でその可能性が検討されたのです。
ファインアート紙の大きな特徴は「保存性」と「風合い」を両立している点です。
原料となるのは「コットン」や「木材」、「竹」などがありますが"PHOTOPRI"で採用しているのはコットンベースのファインアート紙になります。
コットンベースのファインアート紙は、リグニン(木材の20〜30%を占めている成分。木材由来の紙は当然リグニンを含んでいるため、時間が経つと劣化します。ちなみに本が変色するのは紫外線とリグニンの科学反応によるものです)を含んでいないため、長期間の保存が可能になりました。
過去にドイツではコットンベースの用紙は一般用紙から美術用紙まで幅広く使われていました。
ルネッサンスの絵画やシェイクスピアの作品、グーデンブルグの聖書など、コットンベースの用紙で書き残されたものは、いまだに現存しています。
Hahnemuhle(ハーネミューレ・ドイツ)やPICTORICO(ピクトリコ・日本)、Canson(キャンソン・フランス)など、ファインアート紙のサプライヤーは数多く、それだけに用紙の種類も多岐に渡ります。
ヨーロッパ圏で進化を遂げてきたファインアート紙がさらなる進化を期待されるのと同時に、今後はアジア圏からも新たなファインアート紙が誕生するかもしれません。
日本の和紙や中国の竹紙が将来的にインクジェット対応になる可能性もあります。
"PHOTOPRI"で採用しているファインアート紙はどれも風合いが良く、キメ細やかな表現や落ち着いた仕上がりを目指す写真にはもってこいの用紙です。
ファインアート紙の用紙の説明をより深めたのも、まだこの用紙を使ったことがないという皆さんに、用紙が放つ豊かな表現や写真用紙としての使いやすさをおすすめしたかったからです。
また、ファインアート紙はアート業界の方だけに留まらず、個人のクリエイターの層まで浸透していくと考えられています。
それに伴って、用紙自体もさらに種類が増え、細分化していくものになっていく可能性は高いです。
ファインアート紙のもつポテンシャルの高さは今後も目を離せません。これを機に是非一度試してみませんか?
Q.写真印刷するためにおすすめの厚さと用紙の種類はありますか?
A.単なる記録が目的の写真の場合には、0.23mm程度の厚みが良いです。
フォトコンテストにエントリーされる方、フォトスタジオで使用されるプロユースの方々は、印画紙タイプの写真用紙を採用される方が多いため、0.27mm程度がおすすめです。
印画紙に適している印刷物はどれ?
写真集やアルバム制作用、写真コンテスト出品・展示会用の大型の写真用紙、パンフレット、カタログ制作など、仕上がり感の高さを重視するなら、印画紙や絹目調がおすすめです。
光沢紙やマット紙に適している印刷物はどれ?
デジカメ写真プリント、商品カタログ、ポストカード、飲食店メニュー、工事写真、DMなどには、フォト光沢紙やマット紙がコストパフォーマンス的にオススメです。
Q.写真を印刷したいのですが、どの用紙の種類がおすすめなの?
A.
取り扱いがしやすく、プロと同等のクオリティを求めるならRCベースの印画紙。
クラシカルな写真の印刷、落ち着いた仕上がりを求めるならマット紙。
コントラストが豊かではっきりとした表現を求めるのであれば光沢紙。
光沢感を若干抑えつつ、しっとりとした仕上がりを求めるなら絹目調。
和のデザインや、儚く淡い雰囲気を求めるなら和紙。
芸術大国の人々が長年愛し続ける歴史が魅力のファインアート紙。
…と、おすすめの用紙をつらつらと書きましたが、ここまで読んでいただいた方の中にも「よし、これにしてみよう」と方向性を決められた方もいれば、まだ迷われている方もいらっしゃると思います。
私自身、数多くの写真用紙を見て、触って、印刷をしてきました。
一枚の写真をどの用紙に焼き付けようか、迷いに迷ったこともあります。
多くのお客様から「どの用紙がおすすめか」と問い合わせが来ることは本当に多いのですがその質問をぶつけたくなる気持ちも、私にはとてもよく分かるのです。
人が変われば目が変わり、感性が変わり、好みが変わります。
「どの写真用紙にするかーーー」 それはご自身の好みに左右されることも少なくありません。
私の薦めるファインアート紙も、人によっては魅力をいまいち感じることができないといった方もおられると思います。
なぜなら、人によって目も感性も好みも違うのですから。
まだ迷われているという方はもちろん、方向性を決められたという方こそ、是非お試し印刷をおすすめします。
お試し印刷について
一枚の写真データで複数の用紙を見比べていただき、用紙のもつ特徴や雰囲気を感じていただいてからの本注文の方が、より納得いただけると思いますし、用紙サンプルとして手元に置いておくことで、再度ご注文いただくときに有効に活用できるかと思います。
"PHOTOPRI"をご利用いただく上での安心材料としてどうぞご利用ください。
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