【印刷してみた】EPSON プレミアムサテンキャンバス&プレミアムマットキャンバスの魅力
EPSON(エプソン)社のキャンバス。
プレミアムサテンキャンバスとプレミアムマットキャンバス。
この2種類の用紙は、PHOTOPRIでの採用が決まってから、お試しプリントを含め、お客様からご注文をいただくことも徐々に増えております。
キャンバスとは、厚くて柔らかなコットンとポリエステル混紡のマットタイプのキャンバス地のメディアとなっています。
キャンバス地ならではの素材感を活かした上質さは、人気も認知度も高いです。
キャンバスというと油絵などの手描きの絵画作品に使われるものというイメージがありますが、キャンバスは「印刷用」も存在するんですね。
「キャンバスってどんな用紙?」
「プレミアムサテンキャンバスの特徴は?」
「プレミアムマットキャンバスの特徴は?」
「どんな写真やイラストに適しているの?」
などのお悩みを持った方に向けて、その魅力を知ってもらうべく、今回ご紹介いたします。
〈取扱用紙〉
【EPSON】プレミアムサテンキャンバス&プレミアムマットキャンバスという選択
紙というより「布」
冒頭でも触れましたが、キャンバスというと油絵で使われるイメージが強いですね。
PHOTOPRIで取り扱いのある2種類のキャンバスの大きな特徴は「布」であるということです。
実際に手に取って用紙の断面を見てみると分かりますが、糸が格子状に組み合わさり、1枚の用紙となっています。
印刷用紙は通常、耐久性を高めるために引き裂き強度が高く作られており、少しの力では破れないつくりとなっているものが多いです。
それでも、操作ミスでビリっと破ってしまうときもあるわけですが、このキャンバスの場合は、手で割こうとしても割けないくらい強度が高いので、そういった心配がありません。
安心感を与える厚みと柔らかさ
キャンバスの大きな特徴として「厚み」があることが挙げられます。
通常の写真用紙の厚みは0.27mm程度ですが、プレミアムサテンキャンバスの厚みはなんと0.5mm、プレミアムマットキャンバスは0.475mmです。
少しの違いに思えますが、この「厚み」というのは、作品づくりにおいて物理的な「扱いやすさ」に直結する大事な点です。
そして、用紙自体の「柔らかさ」も特徴のひとつです。
毎日作品を取り扱っている私たちも、持ち上げたときに折ってしまうことが時々ありますが、キャンバスはとても柔らかく、折れたときにも「折れ痕」が気になりません。
A3サイズ以上の大きさになってくると、作品を額装に入れるときなどに気を遣いますし、曲げたり折ったりするリスクを考えると「紙自体が丈夫である」ということは大きなメリットとなります。
色が落ちにくい
キャンバスの特徴は「ディスプレイで見た時の色味」と「印刷物の色味」の違いが出にくいという点です。
特にプレミアムサテンキャンバスへの印刷では(完全に同じ色にすることは叶いませんが)データとかけ離れた色味になることはありません。
データに忠実な色表現をしてくれると分かっていれば、写真やイラストの編集段階で、仕上がりのイメージをしやすいので、とても助かりますよね。
印刷をする以上、マット系インクを使ったり、マット紙やマット系ファインアート紙を用いたりすると、色が落ちることは防げませんが、それでもこのキャンバスは、編集段階で色を決めやすいという点で優秀です。
「サテン」と「マット」
お客様からのお問い合わせで「プレミアムサテンキャンバスとプレミアムマットキャンバスの違いは何ですか?」と聞かれることが稀にあります。
「サテン=半光沢」「マット=光沢感のない・反射をしない」という意味合いですね。
用紙を見てみると分かりますが、プレミアムサテンキャンバスは、ほんのりとした光沢感がちょうどよく、発色も良いので、ディスプレイで見る画像とは異なる迫力が感じられます。
プレミアムマットキャンバスは、光沢感がないため、とても落ち着いた印象です。発色についてはプレミアムサテンキャンバスと比べるとやや劣ります。
マット系の用紙はどれも色が沈んでしまうので仕方がないことですが、落ち着いた印象を与えられるので作品の雰囲気とのマッチングによっては、サテンキャンバスよりも好みだという方もいると思います。
どのような写真・イラストに適しているのか
「キャンバス」の大まかな特徴を抑えたところで、ここからはそれぞれの用紙にどのような写真やイラストが合っているのか、といった話です。
写真よりイラスト印刷向き?
キャンバスで注文をされる方の作品を見ているとある傾向に気付きます。
それは写真よりイラストが多いということ。
プレミアムサテンキャンバス、プレミアムマットキャンバスともに、イラストの出力が多いです。
これはなぜなのでしょうか。
それは、イラストを専門にしている方にとっては
- 自分の作風とよくマッチするから
- 作品の最終調理として、絵画的な要素を「用紙によって」加えることができるから
- 使い分けがしやすく、失敗しにくいから
などの理由が挙げられると思います。
そして、写真を専門にしている方からすれば
- 写真の出力なら他の用紙のほうが良いから
- キャンバスは鮮明さやシャープネスさに欠けるから
- 写真が絵画化してしまうから
キャンバスは当然、写真の印刷もできる用紙にはなりますが、他の用紙と見比べたときに「やはり展示で使うならこっちだよね」という結論に辿り着くことになるのだと感じています。
特に「写真の出力なら他の用紙のほうが良い」という点については、私自身、頷ける部分もあります。
写真の印刷では、絹目調の用紙や海外産の光沢紙のもつ表現力がとても魅力で、ついそちらを選んでしまうんですよね。笑
プレミアムサテンキャンバスに適した作品とは...
とは言っても、プレミアムサテンキャンバスであれば、イラストだけでなく写真の印刷にも使える機会は十分にあります。
プレミアムサテンキャンバスは色落ちしにくく、発色が良いので、ある程度写真印刷にも耐えられます。
ただ、どうしても鮮明には印刷ができないので「あえてぼやけさせたい」「シャープネスは不要だ」といった方向性が定まっているのであればおすすめできます。
ポートレートの印刷に使ってみると、用紙表面の粗いテクスチャが邪魔をし、人間の肌感や表情などが上手く表現できていないように感じました。
建物や列車などの被写体や、テイストとしてモノクロや彩度を落としたエモさを演出したい写真では、是非一度お試しいただければと思います。
また、イラスト印刷の中でも「油彩画風作品」や「オイルパステルやクレヨンを使ったウェットな質感のイラスト」との相性も良いと言えます。
特に油彩画については、その特徴でもある「ツヤ感」を出すのに、サテンキャンバスは適正がありますし、仕上がりも本格的になると思います!
プレミアムマットキャンバスに適した作品とは...
プレミアムマットキャンバスは、上述したように「落ち着いた印象を与える」ことのできる上質な用紙です。
光沢感がなく、反射しない用紙というのはとても使いやすいため、イラストの印刷では重宝します。
イラストの印刷では「どの用紙を選ぼうか」と悩んだときに、競合するマット紙・マット系ファインアート紙がたくさんあります。
プレミアムマットキャンバスを使う場合のおすすめのテイストもやはり「油彩画風作品」です。
キャンバスという用紙の特性上、用紙表面の凹凸や面質が油彩画風イラストとよくマッチします。
乾性油が厚塗りされた感じを的確に表現できる用紙のひとつですね。
また、「パステル画をデジタルで表現した作品」や「色鉛筆、パステルを使ったドライな質感のイラスト」の出力にもおすすめできます。
手書きの風合いを出すのであれば、用紙との相性は良いと感じます。
紙とはまた違った風合い、テクスチャによって、布印刷ならではの効果が期待できるかもしれません。
おまけ
キャンバスの木製パネル張り
キャンバス紙に印刷したら、フレームを使って額装をするのも良いのですが、個人的には木製パネル張りを推します。
写真をプレミアムサテンキャンバスに印刷し、木製パネル張りをしたプリントの楽しみ方があります。
さらに、パネル張りしたものをジェルメディウムを使って「油絵風に加工する」こともできます。
作品を「写真と絵画の中間」に位置付けた新ジャンルの写真ですね。
印刷して終わりではなく、パネル張りを行って、そこからさらに味付けをしていくことができる楽しみもありますので、是非キャンバス紙での印刷もお試しください!
社内で作成したものを改めて更新する予定ですので、お楽しみに…!
キャンバスをお試し印刷してみませんか?
車を買う時は一度試乗をするように、プリントをする前にまずはお試し印刷をご利用いただき、ご自身の目で用紙を体験してほしいと思っています。
光沢紙、マット紙、ファインアート紙、和紙など多岐に渡る用紙それぞれがもつ風合いや手触り、色写りなど、実際に印刷物を手にしてみないと分かりませんよね。
たくさんの用紙の中からベストなものを選択しようとしても、いきなりは難しいと思います。どれを選んだら良いのか分からないという方は本当に多いのです。
お試し印刷は、ご自身の写真データを使って出力することができます。
お好みに応じたお試しセットをご用意しておりますので、是非一度ご活用ください!