【印刷してみた】Hahnemuhle FineArt Pearlの魅力
芸術大国であるドイツで、400年以上の歴史をもつHahnemuhle Fine Art社(ハーネミューレファインアート社)。
彼らがつくり出す伝統的な用紙をなくして欧州の芸術は語れません。
ルネッサンスの絵画やシェイクスピアの作品、グーデンブルグの聖書など、長い年月が経過してもいまだに現存している芸術品は「コットン」をベースにした用紙を使用しているのです。
また時代の変化に伴い、今ではコットンだけでなく「αセルロース」という素材でも用紙が作られ、多くのアーティストを支えています。
コットンやαセルロースで作られた歴史のある用紙を写真・イラストの分野で扱えるのは時代の進化があってこそ。
ハーネミューレシリーズは"PHOTOPRI"でも特にオススメすることができる人気用紙です。たくさんの用紙種類がありますが"PHOTOPRI"では6種類に厳選しています。
今回の記事では、FineArt Pearlを取り上げます。
「光沢紙の印刷をしたことがない。」
「FineArt Pearlの特徴は?」
「どんな写真やイラストに適しているの?」
などのお悩みを持った方に向けて書かせていただきます。
〈取扱用紙〉
- 【Hahnemuhle】Photo Rag <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】German Etching <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Torchon <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】FineArt Pearl <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Photo Rag Baryta <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Photo Rag Metallic <商品ページへ>
【Hahnemuhle】FineArt Pearlという選択
FineArt Pearl(以下、ファインアートパール)がどのような用紙なのか、さっそく結論から申し上げます。
ファインアートパールに印刷した作品は端的に言えば「生き生きとした印象」を与えます。
あくまで個人的な見解となりますが、なぜそう感じさせるのか、考えられる理由を特徴とともに書かせていただきます。
独特な光沢感
「生き生きとした印象」を与えられるのはなぜか。
1つ目の理由として挙げられるのは、ファインアートパールがもつ独特の光沢感です。
(↑用紙の表面は微粒面。ポートレート写真との相性は抜群。)
光沢系用紙は世の中を探せばたくさんありますが、ファインアートパールの光沢感は他の用紙と比べると明確に違います。
少し表現が難しいですが「重みのある」光り方をしています。
なぜそのような印象をもつのかというと「パール調」の面質をもっているからです。「パール調」とは見る角度によって反射光の輝きに変化が見られることです。
この用紙を使って印刷を希望される方は、ポートレート写真や風景写真の割合が多いように感じます(もちろん万能に使える用紙なので、和テイストのイラストやモノクロ写真で採用される方もいらっしゃいます。)
例として風景写真では、薄明光線のような淡くうつる自然光の表現が、パール調の面質によって印象的に見える、ということですね。
この面質はファインアート”パール”と名前に入っているくらいの大きな特徴ですが、生き生きとした印象を与える上で必須項目となる特徴の1つと言えます。
ハイコントラストで"魅せること
「生き生きとした印象」を与えられるのはなぜか。
理由の2つ目としては、ハイコントラストに感じられるからです。
コントラストはカメラの設定や編集ソフトで調整することが多いと思います。あらっぽい言い方にはなりますが、現代の編集ソフトの技術をもってすれば「どうにでも」なりますよね。
私がここでお伝えしたいことは上述した「パール調」とつながる話でもあります。
パール調の面質をもった用紙で印刷をすると、角度によって反射光の感じ方が変わるために色鮮やかに感じる瞬間があるということです。
例えば、ファインアートパールに印刷した写真を屋内で展示したとします。
屋内展示では「最後の編集」として作品にライティングをすることに重きを置く方もいらっしゃると思いますが、このケースのように照明を当てたときに鑑賞者の見る角度によっては、まるで違う写真に見せることができるという点がこの用紙の強みでもあり、おもしろさでもあると考えています。
鑑賞者によってどう見えるか、どう感じるかが変わる。同時に、その変化を開催者も楽しめる空間にすることができる。
ここまで魅せられるユニークで心強い用紙には、なかなか出会えません。
どのような写真・イラストに適しているのか
この点は少々難しい問題です。「写真と用紙の適性」については正解も不正解もないからです。上述したように好みの問題もあります。
…が、用紙によって、ある程度の得手不得手はあると思いますので参考にしてください。
オールマイティな万能用紙。
万能に使えることほど迷わせるものはありません。
正直に申し上げると、どんな写真・イラストであってもマッチする力量があると思います。
ただ、再現できる色の範囲(色再現性)が広い用紙だけに、淡い色彩の写真や儚さを強調したいイラストと合わせるとインパクトが強くなりすぎる可能性もあります。
上品で高級感のある演出をしたい場合はもってこいの用紙なので、何かの記念に撮った写真を印刷したいという方や、長期間保存しておけるような用紙を探している方には特にオススメできます。
モノクロ写真との相性も良し。
これは個人的に好きなファインアートパールの使い方ですので、参考程度にしてください。
ファインアートパールはハーネミューレシリーズで展開しているPhoto Rag(フォトラグ)同様、「黒色の締まり」という点ではしっかりと期待に応えてくれます。
その黒色はコクのあるコーヒーを飲んだときのように、思わず頷いてしまうほどの深みを感じます。
深みのある黒色の表現は、作品そのもののレベルを上げてくれます。
これは実際に印刷して間近で見てみないと分からないことでもあると思うので、記事の内容としてはどうなんだ、という感じもするのですが、一応載せておきます。笑
おまけ
ファインアートパールはハーネミューレの用紙シリーズの中の「グロッシーファインアート」の一角です。
素材は「コットン」ではなく「αセルロース100%」の用紙になります。
ファインアートパールについては上述した通りですが「そもそもファインアート紙って何?」という方もいらっしゃると思いますので「ファインアート紙」についてのご説明も加えておきます。少し固い表現もあるかもしれませんがご容赦ください。笑
ファインアート紙とは
ファインアート紙はインクジェットプリント技術の向上により「紙としてのクオリティ」が飛躍した用紙のひとつです。
従来の銀塩写真と同等の高精細、高品質のデジタルイメージの再現が可能になったことで、一気に写真・アート業界でその可能性が検討されたのです。
ファインアート紙の大きな特徴は「保存性」と「風合い」を両立している点です。
原料となるのは「コットン」や「木材」、「竹」などがありますが"PHOTOPRI"で採用しているのはコットンベースのファインアート紙になります。
コットンベースのファインアート紙は、リグニン(木材の20〜30%を占めている成分。木材由来の紙は当然リグニンを含んでいるため、時間が経つと劣化します。ちなみに本が変色するのは紫外線とリグニンの科学反応によるものです)を含んでいないため、長期間の保存が可能になりました。
Hahnemuhle(ハーネミューレ・ドイツ)やPICTORICO(ピクトリコ・日本)、Canson(キャンソン・フランス)など、ファインアート紙のサプライヤーは数多く、それだけに用紙の種類も多岐に渡ります。
今後の可能性としては、ヨーロッパ圏で進化を遂げてきたファインアート紙がさらなる進化を期待されるのと同時に、これからはアジア圏からも新たなファインアート紙が誕生するかもしれません。
ファインアート紙はアート業界の方だけに留まらず、個人のクリエイターの層まで浸透していくと考えられています。それに伴って、用紙自体もさらに種類が増え、細分化していくものになっていく可能性は高いと言えるでしょう。
〈取扱用紙〉
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- 【Hahnemuhle】FineArt Pearl <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Photo Rag Baryta <商品ページへ>
- 【Hahnemuhle】Photo Rag Metallic <商品ページへ>
【Hahnemuhle】FineArt Pearlをお試し印刷してみませんか?
車を買う時は一度試乗をするように、プリントをする前に、まずはお試し印刷をご利用いただき、ご自身の目で用紙を体験してほしいと思っています。
光沢紙、マット紙、ファインアート紙、和紙など多岐に渡る用紙それぞれがもつ風合いや手触り、色写りなど、実際に印刷物を手にしてみないと分かりませんよね。
たくさんの用紙の中からベストなものを選択しようとしても、いきなりは難しいと思います。どれを選んだら良いのか分からないという方は本当に多いのです。
お試し印刷は、ご自身の写真データを使って出力することができます。
お好みに応じたお試しセットをご用意しておりますので、是非一度ご活用ください!